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スローライフVo.15/THE FOOL ON THE HILL
「富士山に一度も登らないことは、非常に愚かなことだが、二度も登るのは、もっと愚かなことだ」
誰が言ったか知らないが、言い得て妙、富士と云う山が持つ側面を非常に巧く捉えている。
またかつて「日本百名山」を遺した深田久弥は、富士山のことを「偉大なる通俗」と呼んだ。
「それは万人向きである。何人をも拒否しない。また何人もその真諦をつかみあぐんでいる」と、その著書にある。 所謂「クセと云うものがない」のが、通俗たる所以だと深田は言っているが、「万人向きで、何人も拒否しない」ことも、通俗に貶めているのだろう。
「万人向け」であるから、あらゆる許容を求められる。
本来、山というのは危険と隣り合わせで、その危険を承知の上で、それを克服する知識、技術、体力を養って、そこに挑むべきであるが、多くの観光客を受け入れようとするがあまり、富士は本来の山の姿を見失ってしまっている。
そして「愚か者」はまた、山の頂に立ち、再び深い落胆を味わうのである。
<追記>近日中にフォトギャラリーにて、富士の写真を掲載予定
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