正しくは「ミッドフット」
一昨年のベストセラー、クリストファー・マクデューガル著「Born to Run」を読み、これまで常識とされてきた「踵着地走法」(「ヒール・コンタクト」、あるいは「ヒール・ストライク」と言う)が、ランニング時に多くの怪我を招く、ということを知った。
こういうモノを読み、鵜呑みにするほど純真な性格を生憎、持ちあわせていないので、自分でそれを検証するまで納得ができない。
で、昨春よりサンダルにゴム紐を付けて走り、初夏より自家製のサンダルで走り、そのランニング・フォームを徹底検証してきた。
つまりこれまではランニング・シューズの踵の部分にエアやジェルを入れ、そこで着地する時の衝撃を最小限にして走ろうというのが定説であったが、どんなに快適なクッションで踵を保護しても、その走法では怪我は免れないと言うのだ。で、踵ではなく「爪先着地」(「フォアフット」と言う)で走ると、人間本来が持つアキレス腱やフクラハギの筋力を上手く活用して、怪我のない走りが出来る...と言うのが、簡単に言えば「Born to Run」の要旨である。
だが「フォアフット」と表現すれば問題なかったかもしれないが、「爪先着地」と日本語で訳するから、いろいろな問題が出てきた。
確かに「ヒール・コンタクト」で走るのは良くない。が、これまでのランニング・フォームを維持しながら「フォアフット」で走るのはもっと良くない。
それを理解していないから、我が妻はいきなり故障した。友人の一人も故障した。
まずはランニング・フォームを改善しなければならない。
すっと立って前傾し、そのまま前に倒れこむ時に、思わず「おっとっと!」と前に片足を出す。そんなイメージで走りだせばいいのだ。で、その「おっとっと!」と片足を出す時に、爪先ではなく拇指球を中心に足裏全体で着地(ミッドフット)するようなイメージで足を着けば良いのだ。
ここでもっとも肝心なイメージは、足裏全体を着いた時にアーチ(土踏まず)が重量によって伸ばされる(ひしゃげる)感じ。そしてその伸びたアーチが復元する時にその復元力を利用して跳ね上がるイメージだ。
爪先だけで着地しては、その復元力を生かせない。
だから「フォアフット」ではなく「ミッドフット」が正しい走り方と言えるのだ。
実際に昨春からこの走法に切り替え、11月の河口湖では自家製サンダル「ワラーチ」でフルマラソンを完走し、先日はハーフマラソンでも納得の行くタイムで完走した。さらには「ワラーチ」なしの裸足で10キロ以上の距離を走り、足にまったくダメージがないことも体感した。
「ヒール・コンタクト」でこんなことをすれば、たちまち骨折してしまう。
そしてこの動画が裸足で駒沢公園を5周(約11キロ)した時のスローモーション動画。足裏全体で着地しているのがよく判る。
さらに以下の動画は、ワラーチ・ランニング・フォームの比較を詳しく検証している。
以下は動画の説明より。
自分は青いジャケット、妻は黒いジャケット、アシスタントは赤いジャケット。
自分とアシスタントはワラーチを履いて約10ヶ月。妻は一緒に始めたがすぐに故障した。主な原因はランニングフォームだ。妻はややのけぞって走っている。その結果、足がか
それにもっとも大切なのは、「フォアフットかヒールコンタクトか」ということに拘るのではなく、着地する足が自分のからだより前に出ないことだ。
これが足に負担を掛けることなく省エネ走法ができるメリットだ。
コメント(2)
コメントする
MT42BlogBetaInner
1958 年大阪生まれ。
20代は雑誌「ポパイ」の顔としてファッションモデルとして活躍したが、その後、30 代に入りアウトドア関連の著作を多数執筆。
現在は河口湖に拠点を置き、執筆、取材、キャンプ教室の指導、講演など、幅広く活動している。
また各企業の広告などにも数多く出演しており、そのアドバイザーも務めている。
ドイツに35年住む日本人です。木村さんはひょっとしたら有名な方でしょうか...
この足の着地に関するご研究、素晴らしいです。是非私の走り仲間にも回したく思います。
私のサイトの所でも、掲載させていただきましたこと、どうかお許し下さい。
http://www54.jimdo.com/app/s26964e0ae01d2f89/p76ce6c7023f199d2?safemode=0&cmsEdit=1
川崎
ご連絡有難うございます。掲載の件、承知しました。まったく問題ありません。今後も楽しいランニングライフをお続け下さい。