今更ながら・・・だと思われるかもしれないが、ついに「JetBoil」を手に入れた。もちろんそのスペックは十分に理解していたし、使い方も心得ていたが、自分の用途と少し乖離する部分があったのだ。
まずは「JetBoil」の特性を検証してみよう。
「JetBoil」はお湯を沸かすことに特化したストーブである。そこに複雑な調理を求めてはいけない。なにしろ瞬時にお湯を沸かす。この点だけに優れたストーブだ。だが以前の自分の用途としては、小型ストーブを用いて如何に美味しい調理ができるか? ということを徹底的に追求していた。いや、もちろん今でも追求しているし、それは他の小型ストーブで継続するつもりだ。
だがトレランなど、装備は極力軽く、調理時間は極力短く、というような状況を求められる場合、温かい食べ物を最短で摂取するには、「JetBoil」は最適なストーブとなり得るのである。ご存知のようにアメリカでは沸騰したお湯を注ぐだけで美味しい料理ができあがるフリーズドライ食品がたくさん存在する、が、以前はそのような食品が国内には少なかった。いやあるにはあったが、そのクオリティが・・ところが今では「カップヌードル・ライス」をはじめとして、タイカレーやパエリアなど、様々な美味、かつ安価なるフリーズドライ食品が多く流通している。
もちろんそれらの食品の説明には「お湯を注ぐだけ」の表記は見られない。「お湯で煮る」あるいは「電子レンジでチン」の説明しか見当たらない。だが心配無用。適切な量のお湯を注ぎ、8分から10分待てば、きちんと食べられるのだ。
「なーんだ! 瞬時にお湯を沸かして、10分も待つのか!」と感じる方もいるかもしれないが、10分なんて、待っている間にインスタントスープなどを飲んでいれば、あっという間に過ぎてしまう。
と言うことで、最速でお湯が沸くと言われている「JetBoil」を手に入れたことで、その能力を比較してみた。
この比較は水500CCを2分間、火に掛けた結果である。
比較したストーブ、コッフェルは次の通り。
「JetBoil」、スノーピーク「チタン・トレック700」(以下、700)、「SOTO」マイクロ・レギュレーター(以下,SOTO)、プリムス「イーターパワー・EFトレイル」(以下、EP)
「JetBoil」純正 75度
「JetBoil」+700 55度
SOTO+「JetBoil」(カップ部分) 83度
SOTO+700 59度
EP 80度
以上の比較でなにが分かったか?
純正品では「イータパワー」が最も速くお湯が沸く。(総重量が重いという難点はあるにせよ)もっとも最速で湧いたがのが「JetBoil」のカップ部分とSOTOのマイクロ・レギュレーターの組み合わせだ。もっとも遅いのが「JetBoil」とスノーピークの組み合わせ。
つまりこういうことだ。
「JetBoil」の火力自体はたいしたことはない。ストーブ自体の火力の強さは、おそらくSOTOがもっとも強いだろう。しかし、やはりコッフェル(鍋底)のヒートエクスチェンジャー(「JetBoil」では「フィン」と呼んでいる)が沸騰時間に大きな影響を与えるのだ。
要するに、ストーブの火力を最大限に引き出すことができるコッフェルとの組み合わせが、ストーブの能力と言えるのだ。
もちろん! 冒頭でも述べたように、それが自分の用途と見合っているかどうか、まずはそこから検証すべきなのは言うまでもない。
最後に蛇足ながらボクが指差して笑顔なのは、「JetBoil」はお湯が沸くとそのサインとして、コッフェルを包んでいるネオプレン製のカバーの「湯気のデザイン」部分が黄色く変色する。このあたりの遊び心もイカしているのである。
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