我が家のすぐ横の山道を登って行くと、約10分ほどで「東海自然歩道」へと繋がる。「東海自然歩道」は多くの登山者が歩くので、それなりに整備してあり、とても歩き易いのだが、我が家から「東海自然歩道」までの登山道は、僅か10分の距離とは言え、荒れていてとても歩き辛い。毎年、春になると転がっている岩、絡まった蔦、猪が掘り起こした溝、枯れ枝等、気がついたところは整備するのだが、毎年、雪の期間に手が付けられないほど荒れ果てる。
毎朝のように入っていく登山道なので、(スパーキーの大好きな散歩コースでもある)この季節、荒れた登山道を歩きながら、その整備を思って溜息を付くのである。
そんな荒れた登山道ではあるが、そこにも目を凝らすと美しい自然が息づいている。
ご覧の写真は「一人静か(ヒトリシズカ)」。その名の由来は、源義経が好んだ「静御前(しずかごぜん)」という女性が一人で舞っている姿に見立てたことからだと言われる。
確かに荒れた登山道にひっそりと咲く姿は、美しくも物静かな女性の清楚な姿に通じるのかもしれない。
実はこの春に、モデル時代の友人の女性が早逝した。あまりにも美しく、あまりにも若く人生を終えてしまったのが残念でならない。遺されたご主人に依ると、病気が回復したら、河口湖に来て我々と一緒に山に登りたいと口にしていたらしい。彼女にとって山に登ることは、きっと己の病に打ち克つことの証だったに違いない。
彼女の望みは叶うことはなかったが、どこかでこの花のように静かに、凛と立ち尽くしている気がするのだ。
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