キャニオン・デ・シェリーを後にして、LAまでの長いドライブが始まる。
まずは州道191号線を南下し、インターステイト40号に入る。あとは西に向かって延々と走るだけだ。が、距離にすると約1000キロ以上あるので、途中、どこかで一泊しなければならない。とは言っても、適度な距離で休むとなるとあまり選択肢はなく、とりあえずアリゾナ州の西端の街「キングマン」を目指した。
結局、キャニオン・デ・シェリーを出発したのが11時頃で、途中、ウィンズローでランチと給油を済ませ、18時頃にキングマンに到着した。このキングマンは「ルート66」上にあり、かつては交通の要衛であったと聞くが、今ではちょっと寂れた感が否めない。だがそれまで延々と不毛の大地をドライブした者にとっては、オアシスさながらに一時の安らぎを得ることが出来た。
キングマンで早朝のランニングを済ませ、モーテルの簡易的な朝食の後、再び、長いドライブを続ける。しばらく走るとアリゾナとカリフォルニアの州境を超えるが、そこからまた不毛の大地が続く。
モハベ砂漠をかすめ、バーストウでようやく都会の気配を感じ、アローヘッドやビッグベアを抜けて走り続ける。
今回の旅の友、クライスラーの「Jeep」。長い距離をよく走ってくれました。
15時過ぎに、ようやくハイウエイを下りてPCH(パシフィック・コースト・ハイウエイ)に入る。上半身ハダカでジョギングをする若者、ビーチクルーザーにサーフボードを積んで走るサーファーガールなど、これまでのアリゾナの地では決して見かけることがないような人々が車窓を流れる。
そして翌朝には、自分もそれらのサウスベイの景色の一部となって、朝のビーチランを愉しむ予定だ。旅の締めくくりはレドンドビーチからハーモッサビーチのランニング。世界でもっとも好きなランニングコースの一部だ。
セドナで会うことが出来なかった友人ともロスでゆっくりと過ごし、他にも懐かしい友人にも会った。
約3週間前にエルパソに着いた時には、これから長い旅が始めるのだ、と強く感じたが、帰国の日を迎えると、後ろ髪惹かれる想いが募る。まあどのような旅でも感じることは同じだ。
帰国してすぐに、娘がベン・ステイラー主演の映画「Life!」を観ることを勧めてくれた。凡庸な生活を送る主人公が一念発起、冒険の旅に出るというストリーだが、その映画の中であの雑誌「LIFE」の社訓が紹介されていた。
そのスローガンは今回の旅で感じたことを、端的にすべて言い顕していた。
To see the world,
things dangerous to come to,
to see behind walls,
to draw closer,
to find each other
and to feel.
That is the purpose of life.
世界を見よう
たとえ危険が伴おうとも
壁の向こうに隠れているものを見て
近くに引き寄せよう
お互いをよく理解し
感じること
それこそが人生の目的
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