クアウテモックに宿泊した翌日、弘樹の案内で街のもっとも高台にある公園まで、みんなでランニングすることになった。砂漠の街の日中は暑いが、朝晩は結構冷える。それでも充分にワラーチで走ることのできる気温だ。
ランの後、シャワーを浴びて朝食を済ませ、また再び荷物をバンに積み込んで出発する。今日はウリケの村から約30キロほどの距離にある、ディエゴが経営する宿に宿泊する予定だ。
イタリア系オーストラリア人夫婦のルッカとリディア。リディアは現在、妊娠6ヶ月
クアウテモックを出ると、道は未舗装の道路が続き、曲がりくねった渓谷の道が続く。
途中、通過した村の広場で、3人の若い男がパトカーのボンネットに手を付かされ、周囲では民兵や警察が20人ほど、マシンガンを構えている。拳銃ではなくマシンガンだ。なにがあったか判らないが、こんなにも恐ろしい警察を相手に、よくも犯罪など犯す気になれるものだ。
途中、渓谷にある施設に立ち寄る。そしてディエゴが言った。
「ジップラインをやってみるか!」
ジップライン? あー知っているよ。昔々、フランスで「トロフィーボルヴィック」というアドベンチャーレースに出場した時、渓谷間を長いワイヤーにぶら下がって移動したことがる。
しかし今回はレース前だぜ! オレたちゃ、遊びに来たわけじゃないんだぜ!
と言いつつ、結局、やることになった。
こちらの映像をどうぞ。
というこ とで、結構、愉しませて貰ったが、この施設のジップラインの長さはメキシコ一番だとか。まあ滅多に来ることはないところだ。何事も徹底的に愉しまなければ。ちなみに7本のジップラインと2本の長い吊り橋を渡って、料金は日本円で4800円だった。コロラドから来た二人組が「コロラドじゃあ、もっと短いジップラインが1万5千円もするぜ!」とぼやいていたとことろ見ると、ここはどうも格安のようである。
散々、遊んだせいで、ディエゴの宿に着いた時には夜の8時を過ぎていた。
宿に入ると、暖炉で炎が赤く揺れており、ウェルカムドリンクのマルガリータが振る舞われた。マルガリータが並んだカウンターの横に、カバーヨ・ブランコの写真が飾られていた。生前、カバーヨはこの宿を頻繁に訪れ、ディエゴがビールを奢ることがよくあったそうだ。
あゝ、とうとうやって来たんだなあ...
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