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2014年3月23日アーカイブ

遙かなる赤銅渓谷2

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  旅をする上で最優先させなければならないのは、言うまでもなく安全だ。かつて「安全と水はタダ」と言われた我が日本も、水は相変わらず無料で飲めるが、安全の方は怪しくなってきた。が、それでも深夜の地下鉄で、酒を呑んで眠ってしまっている女性などを見かけると、まだまだ日本は安全な国だと思う。

 今回の旅では陸路でメキシコ国境を超える予定だ。我々が宿泊している「モーテル6」から僅か15分ほど走れば、そこはもうメキシコ国境で、メキシコの中でも悪名高いシウダード・ファレスである。「シウダード」と云うのは英語の「シティ」に相当するので日本語に訳せば「フェレス市」ということになるのか。「ファレス」と云うのは、インディオとスペイン人の混血で、メキシコの初代大統領になったベニート・ファレスに因んで命名された都市である。以前は「戦争地帯を除くと世界で最も危険な都市」と恐れられていたが、2年前にホンジョラスのサンペドロ・スーラにその席を譲った。が、まだまだ充分に恐ろしい街であることには変わりない。

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 「国境を超えたらすぐにドルからペソに両替しよう。ファレスはレートがかなりいいから」とディエゴは言う。本音を言えば、レートなんてどうでもいいから、クルマから一歩も下りずにファレスを通過したかったが、とりあえず1ペソも持っていなかったので、換金屋に寄る。そして急いでクルマに戻った。

 恐ろしいファレスの町中を出ると、すぐに砂漠地帯が拡がる。エルパソの年間降雨日数は僅か1週間。周囲を見回してもハゲ山か砂漠しかない。国境から1時間ほど走って、本格的にメキシコのイルミグレーションで304ペソ(4ペソはいったいなんだ?)を払って入国スタンプを押してもらう。

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 そこからしばらくしてランチ。ディエゴお勧めの「ケサ・ディーア(トルティーヤに溶けたチーズを挟んだモノ)」。屋台で2枚で12ペソ。日本円にして100円ほど。これがなかなか旨い。

 ランチが終わればすぐに出発。今夜はチワワ市から西へ100キロほど向かった「クアウテモック」に宿泊の予定だ。

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 延々に続くかと思われる砂漠地帯を抜けて、18時頃にようやくクアウテモックに到着。ホテルチェックイン後、ようやく全員集合で夕食に行く。ディエゴ以外、レストランのメニューを見てもまったく理解できないが、楽しい夕食となった。

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    木村東吉
    1958 年大阪生まれ。
    20代は雑誌「ポパイ」の顔としてファッションモデルとして活躍したが、その後、30 代に入りアウトドア関連の著作を多数執筆。
    現在は河口湖に拠点を置き、執筆、取材、キャンプ教室の指導、講演など、幅広く活動している。
    また各企業の広告などにも数多く出演しており、そのアドバイザーも務めている。

    詳しいプロフィールはこちら

    木村東吉公式サイト「グレートアウトドア」

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