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♪秋の夕陽に 照る山モミジ
濃いも薄いも 数ある中に
松をいろどる カエデやツタは
山のふもとの 裾模様♪
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唱歌「モミジ」だ。
幼いころ、町内で「のど自慢コンクール」が開催された。
大都会、大阪と言えど、昭和30年代の頃は長閑なモノである。
その「のど自慢」に一級上の幼なじみが出場して、冒頭の「モミジ」を熱唱した。
驚くほど巧く、幼心に感動した記憶が強く残っている。
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秋になって山々が色付くと、決まってその幼き日が、この季節の紅葉のように鮮やかに蘇る。
今では大阪から遠く離れた河口湖で、18回目の秋を迎えているワケだが、今になって歌詞の内容が現実のモノとして深く理解できるのである。
もちろん大阪の街にだって紅葉はある。御堂筋の銀杏並木なんて、それはそれは見事なモノである。
しかし「松を彩るカエデやツタ」と言ったコンビネーションは記憶にない。特に松の幹に絡まるツタの紅葉の美しさは、この河口湖にやって来て初めて知った。
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♪渓(たに)の流れに 散り浮くモミジ
波に揺られて 離れて寄って
赤や黄色の 色さまざまに
水の上にも 織る錦♪
唱歌「モミジ」はこのように歌詞が続く。
もちろん抜けるような青空の下で、風に揺れるモミジも美しいが、散った後に土の上、水の上、路の上に降り積もるモミジも、それはそれで美しい風情がある。
普段は洋楽ばかり聴いていて、邦楽はほとんど聴くことがないが、四季と自然を美しく歌い上げる唱歌は、四季折々に聴きたくなるのだ。
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