1990年の初夏。ボクは初めて一冊の本を書き上げた。タイトルは「グレート・アウトドア」サブタイトルには「木村 東吉流、オートキャンピング術」とある。(KKロングセラーズ刊)
23年も前に書いた本なので、些か、今とは違う意見、提案もあるが、概ね、その頃に持っていたアウトドア観はあまり大きくは変化していない。
その冒頭部分に「オートキャンプとは」というコラムがあり、そこでボクはこう書いている。
「青空の下、小鳥の鳴き声を、川のせせらぎを、波の音を聴きながらシャンパンを楽しみ、食事を味わう、なんてスタイルがあたりまえになる。」
その当時は「オートキャンプ」という言葉もあまり浸透していなかった頃で、きちんとしたテーブルや椅子で、食事をするキャンパーはごく少数だった。ところがご存知のように、今ではボクが書いたようなスタイルのキャンパーが大勢を占めている。
新たなことを提案して、それが拡がっていくことは喜ばしい。だがそれが違った解釈で拡がることは本意ではない。
そういう気持ちの下、新たなサイトを立ち上げた。
2011年の春から「ワラーチ」というランニング・サンダルを手作りして、その年の11月に、自家製の「ワラーチ」でフルマラソンを走った。で、その翌年の2012年の秋には、チャリティマラソンで河口湖から神戸までの460キロを、やはり「ワラーチ」で走り抜いた。
その過程に於いて、この素晴らしいサンダルの作り方のワークショプを各地で開催した。で、多くの人がそこで「ワラーチ」の作り方を習得して、ワラーチランニングを楽しまれている。
だが一部に、そのワークショップに参加した後、自分でもワークショップを開いて、ボクが教えた、まったく同様の方法で、ワラーチ作りを教えている方が何人かいる。あるいは某有名手作りショップの店で、店頭にボクのワラーチ作りの方法とまったく同じ方法をPOPに仕立て、素材を売っているところもある。
だがそのことを咎めるつもりはない。
冒頭でも言ったように、新たなことを提案して、それが拡がって行くのは本望である。
だがそこで明らかに違う使われ方を紹介されると、「いやこれはちょっと違うぞ!」と首を捻りたくなる。と言うのも、「ワラーチ」というのは、作ることが大切ではなく、その「ワラーチ」で、どんな走り方をするか、ということが最も大切だからだ。決して流行やファッション・アイテムではなく、怪我をしないで如何にランニング・ライフを楽しむか、ということが主眼である。
しかしだからと言って、著作権や商標権などなにもないので、「まあ勝手におやんなさい」となるのだが、違った解釈で拡がることは避けなければならないので、「ワラーチ」専門のサイトを立ち上げたというワケである。
もちろん「ワラーチ」が拡がって行く中で、ファッション性が重視されて、それが大勢を占めるのなら、それはそれで構わない。
だがきちんとした提案をする責務が、自分にはあると信じているので、このサイトを通じて、それを伝えて行きたい。
最後になったが、サイトを立ち上げる上で、ボク本人より熱意を持って動いてくれた千栄ちゃん、ウエポン、ヅラ夫の3氏に、心から感謝したいと思う。
有難うございます。
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