今年の2月中旬、寒風吹きすさぶ浦安の海岸で、カヌーの練習をしていた友人が遭難し、そのまま帰らぬ人となった。そのことはこのブログでも報告した。
また一緒に穂高に登ろう、酒を呑んで馬鹿騒ぎしようと約束したが、その約束は果たされなかった。また最後に会った時に星野道夫さんの本を貸したが、それも返って来なかった。そのこともその時のブログで書いた。
先週末、彼のアウトドア追悼会を行った。
アドベンチャーが好きな彼の仲間が我がキャンプ場に集まり、思い思いのアウトドア料理を作って、酒を呑み、焚き火を囲んで彼との想い出を語り合った。その席には彼の奥様も参加してくれた。ボクは初対面だったが、とても明るく朗らかな女性で、彼の生前の愉快なエピソードをいっぱい披露してくれた。
翌、日曜日の朝は、皆でキャンプ場の北側にある十二ヶ岳に登り、ボクのお気に入りの眺望のいい場所で、前夜の焚き火の灰を撒いた。彼について想い出を語り合った焚き火の灰を。
山から下りて再び前日の残りの食料でゆっくりとランチを食べ、また思い出話に花を咲かせた。いつまでも会話が途切れないので、また近いうちになにかの口実を付けて集まろうということになった。
皆と別れ際、奥様が紙袋をボクに差し出した。
そこには彼に貸した本と、星野道夫さんの新しい写真集が入っていた。
「もしもお持ちじゃなければ」と奥様は笑顔で手渡してくれた。
熱いものがこみ上げるのを堪えながら、こちらも笑顔でそれを受け取る。湧き上がる感情を隠そうとページを捲る。アラスカの美しい自然、動物、人々、四季などの写真が心を癒す。
人生を与えられる限り、人は皆、平等である。
しかしその人生を奪わる瞬間に於いて、その差はあまりにも大きい。
もちろん人生の価値は時間では測ることが不可能だ。
それでもあまりにも若い死は、遺されたモノに深い哀しみを与える。
しかし少なくとも約束のひとつは果たされた。
そして果たされなかった残りの約束以上のなにかを与えられた気がした。
さらば友よ。安らかに・・・
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