この季節はほぼ毎朝、山を走っている。
走り始めの時間がまだ暗いということと、道路が凍っていて危ないということが理由で、無用な交通事故を避けるためだ。
だから毎朝のように山から美しい朝陽を拝むことができる。
山に入っていく時間が6時半で、その頃はまだ薄暗いが、ちょうど見晴らしのいいトレイルを走り始める頃には太陽が顔を出し、すっかりと葉を落とした木々を黄金色に染める。その時間はわずか10分ほどだが、その瞬間に巡り合えるだけでも、この時間に山に居て良かったと思える。
だから元旦の朝だからと言って、特別な朝陽ではないのだが、それでも一年のスタートを告げる初日の出なので、少しはいつもと違った気持ちで山に登る。
どう「少し違う」のか?
いつもはトレーニングが主目的で、そのついでにカメラのシャッターを押すが、この日は美しい日の出の撮影が主目的で、トレーニングは意識しない。とは言っても、荷物を担いで山に登るのだから、氷点下の寒さの中でも汗が流れ、その汗によって冷えないような工夫はする。
残念ながら今年の初日の出は雲の中にあった。が、雲の存在は空にドラマを与える。抜けるような快晴の青空に、鮮やかな一条の光を投げかける日の出も美しいが、雲を紅く怪しく染め、その姿を雲の切れ間から変幻自在に魅せる日の出も、それはそれで美しい。
なによりもそれを見る側が、厳かな気分になっていることが重要だ。手を合わせて昨年の無事に感謝し、今年の無事を願う。そしてその瞬間、いつもより強く、亡き母の存在を感じる。
皆様、今年もよろしくお願いします。
こちらに来て10年、初日の出は自宅でと横着しています。駿河湾に昇る朝陽もなかなかです。今年もさらなるご活躍を。