これまでに3回に亘って「ダイエットとアンチエイジング」について考察してきたが、自分自身の体験を以って、このシリーズを総括したいと思う。
モデルという職業柄、一定の体重、体型を求められるが、20代のモデル現役時代は、ずっと体重が72キロから75キロの間で定着していた。
が、35歳の時に河口湖に越してきて、それまで日課としていたランなどのトレーニングもせず、毎日、ひたすら家造りをしていたら、どんどん知らない間に体重が増え続け、あっと言う間に90キロを超えていた。
で、ある程度、家が完成した時点で、再び走り始め、7ヶ月で75キロまで体重を落とし、これまた再びフルマラソンを走るようになった。
この7ヶ月で15キロの体重を落とした経験から、一日に70グラム、一ヶ月に2キロの減量が望ましいということを実証した。
その後、トレーニング量が減る冬は体重増、増える夏は体重減を繰り返し、75キロと80キロを行ったり来たりしていたが、50歳を機に、大きく食生活を見直すことにした。
まずは肉食を断った。
野菜を中心とした食生活に変え、魚介類、乳製品は摂取したが、牛肉、豚肉、鶏肉は一切、口にしなかった。だがこの食生活がダイエットに結びついたという実感はない。
ここ数年、大腸癌の発生率が増えつつあり、現在では女性の癌死亡率1位がこの大腸癌であり、男性でも4位に位置している。2020年には男女とも大腸癌の死亡率が1位になると言われており、その原因は言うまでもなく、肉などの高脂肪食品の大量摂取である。逆に食物繊維を摂らなくなったことがそれに拍車を掛けている。肉食を断ったのは、このことが大きな理由で、これはダイエットではなく、アンチエイジングの方に作用していると思われる。肉食を断ったことにより、睡眠の質が格段に良くなった。おそらく肉を消化するために、胃を始めとする内蔵に大きな負担が掛かっていたのだろう。
ビタミンやミネラルの欠乏を感じ、今は少しは肉も口にするが、やはり野菜中心の食生活には変わりない。
次に白米の量を減らした。
ちょうどその頃に長期でスイスに滞在した。滞在したのはドイツ語圏で、毎日のように高脂肪な食事が続いた。ところが帰国して体重計に乗ってもあまり変化はない。思い返すとスイス滞在中はパン食がほとんどだった。そこで白米を減らし、パンやパスタを代わりに摂取するようにした。そしたら体重がどんどん減り始めた。もっとも減少した時点で71キロ。この体重はモデル時代でも少ない方の体重だ。
まったく食事の量は減らさなかったし、食事を我慢した覚えもない。が、5キロから6キロほど体重が落ちた。これがおそらく「Lo GI」の食事療法に繋がっていたのだと思う。ただ実感したのは、世間で報告されている「GI値」の数値だけではなく、インシュリンに反応する食品群が、個人によって違いがある、ということである。こればかりは試してみないと分からない。自分自身が太りやすい炭水化物を早く発見することが、体重減に繋がるもっとも確かな方法だと思う。
酒は好きなので毎日のように呑んでいる。が、若い頃みたいに、翌日に残るほどは呑まなくなった。まあそうは言っても、気の合う友と呑む時には、どうしても限度を超えてしまうが。
カフェインの摂取も少し減らした。カフェインも毎日、同じ量を飲んでいると体内にカフェインに対する耐性が出来て、それまでの量と同量のカフェインを摂取しても効き目がなくなる。そこでその「耐性」を、時々、リセットする摂取方法を試みている。
もちろんタバコは吸わないし、睡眠は十分に取るように心がけている。そしてストレスを感じないような環境を、意識して作り上げている。
生活にどんな工夫を取り入れても、病気や老いには勝てない。だが、だからと言って、なにも努力しないのは愚かだと思う。
「健康」ってカッコいいと思う。
なぜなら「健康」な人は、他者に依存することが少ない。
保険を使用する回数が少ないということは、国家の予算に貢献しているということに繋がる。もちろん家族や友人にも迷惑をかけることも少ない。つまり「自立した人間」と言えるのである。
ダイエットやアンチエイジングによって、外見が美しく保たれることは大切だと思うが、もう一歩、踏み込んで、この「自立した人間」を目指せば、社会貢献に繋がるのではないか。
ネット社会の充実により、一歩も動かなくとも、他者と繋がったり、欲しいモノが手に入る時代ではあるが、そういう時代に生きるからこそ、人間本来の「チカラ」を引き出す生き方が求められるのではないか。
ダイエットとアンチエイジングの本質は、まさにそこに存在価値を見出すのである。
すごく説得力のある考察ですね。
当方48歳、174cmで現在76Kg。この一年で8Kgも体重が増えてしまい体が重くて仕方がありません。参考にさせて頂き、再びフルマラソンを走れるような体を取り戻したいと思います。
我々のような年齢になれば成長ホルモンの分泌量が下がり、摂取カロリーと消費カロリーのバランスが崩れます。是非、運動によってそのバランスを取り戻して下さい