さてボクの隣に写っているのは我がクライミングの師匠である。
彼の本業はカメラマンで、今から20年ほど前に、主婦向けの「オレンジページ」という雑誌でアウトドア・クッキングの特集を組んだ際に、沖縄ロケをご一緒させてもらい、それ以来の付き合いである。
実は知り合った当初、彼はほとんどスポーツをしていなかったと思う。口癖のように腰痛を訴え、記憶違いでなければタバコも吸っていた。
が、二度目のロケの時には、ボクの日課であるランに一緒に付いて来て、当時、暮らしていた自宅のガレージに人工のクライミング・ウォールを設置すると、すぐに夢中になって、暗くなるまでウォールと格闘していた。で、その日のウチにボクより遥かに難しいムーヴが出来るようになっていた。
しばらく会わないウチに国内では有名な登山競走である「ハセツネ」に参加したり、いろいろなアドベンチャー系のレースに参加し、久しぶりに会ったら「最近はこれ」と言って、アイスクライミングの写真を見せてくれた。
それ以来、夏は通常のクライミング、冬はアイスクライミングに連れて行ってくれ、それらに関する詳しい知識や技術を教えてくれている。
で、数年前、アイスクライミングの最中に、落ちて来た氷塊に胸を強打して骨折。肺の一部が潰れるまでの重傷を負った。
が、すぐに復帰。
一昨年の秋の小川山で久しぶりにクライミングを楽しみ、先日、山梨や群馬の県境にあるダイナミックなアイスクライミング・エリアを案内してくれた。
人間、幾つになっても新しいことを始めるのに、遅すぎるということはない。それに大きな怪我や事故に遭っても、情熱さえ失わなければ、また復帰して楽しむことができる。それは幾つになっても、だ。
そういうことを頭ではなくて体感させてくれる先輩に恵まれて、ボクはとても幸せである。
彼らと接していると、残りの人生を考えるのではなく、まだ見ぬ新しい世界に対する好奇心に包まれるのだ。
最近のコメント