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ペーサーはすでに始まっている2

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 今週末に「信越五岳トレイルランニング」というレースが開催される。

 で、キャンプしながら試走しようということになった。

 試走する区間は我々がペーサーを務める44キロ区間で、出発は乙見湖、ゴールは飯綱高原スキー場である。

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 途中、1700メートルを超える瑪瑙山を超えなければならず、それ以外にもかなりのアップダウンが続く。トレイルランニングだからそれも当然なのだが、ほぼ同じ距離を走るフルマラソンよりハードである。が、逆に走力を温存するために、全体的なペースはゆっくりで、我々も当初は6時間以上かけて44キロを走ろうと計画を立てた。

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 コースの途中には戸隠神社の参道を通ることろや、小さな清流が心癒す静かな森などが随所にあり、さすがに石川弘樹が考案したコースだけのことはある。アウトドアのフィールドを使ったレースは、そのコース上の景観を楽しめなければならない。そのことを彼も十分に理解しているのだ。

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 さて友人が不遜にも足を上げ、その足を苦々しくボクは睨みつけている写真があるが、これは「足神さん」と言って、鬼女「お万」と呼ばれ、七十人力の力持ちで大変な乱暴者だった女性を祀ってあるところだ。お万は足腰が丈夫で一夜に三十里を走り、山を越えた遠くの村々まで出かけては略奪の限りを尽くしと言われている。その後、自らの罪を悔いて、戸隠勧修院の寛明という僧を頼り、六尺余りあったという髪を落として尼になった後に自ら喉を突いて自害。寛明は、その最期を憐れみ、お万の亡骸を丁寧に葬ったといわれる場所である。
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 地元の人はお万の健脚にあやかって、子供たちの足が丈夫になるようまた自らの健脚を祈って、今でもワラジを奉納しているが、友人もその御利益の恩恵を受けようと足を上げているのである。が、曲がりなりにも神の向かって足を向けるとは・・・なんて思うことがジェネレーション・ギャップか、と思っていたら、なんとボクと年齢の変わらないアシスタントまで足を向けた。

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 あーあ。

 とまあ、あれこれ撮影、コースチェック、軽い休憩などを入れながら、結局は8時間でゴール。レース当日もこのくらいののんびりスピードでもいいかもね...と試走を終えたのであった。

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    木村東吉
    1958 年大阪生まれ。
    20代は雑誌「ポパイ」の顔としてファッションモデルとして活躍したが、その後、30 代に入りアウトドア関連の著作を多数執筆。
    現在は河口湖に拠点を置き、執筆、取材、キャンプ教室の指導、講演など、幅広く活動している。
    また各企業の広告などにも数多く出演しており、そのアドバイザーも務めている。

    詳しいプロフィールはこちら

    木村東吉公式サイト「グレートアウトドア」

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