ツイッターでも何度も呟いているが、最近、ファイブ・フィンガーというランニング・シューズを手に入れた。
ファイブ・フィンガーとはその名の通り、ご覧のように五本指が独立した形状の爪先を持つ靴で、限りなく裸足に近い感覚で走ることができる。
なぜ今さら裸足なのか?
話は昨年の秋頃に遡る。
ある夜、BSの番組でマラソンの特集をしていた。バルセロナ・オリンピックに於いて「こけちゃいました!」の台詞で強い印象が残る谷口浩美氏がレポーターを務め、ケニアのマラソン・ランナーを養成する合宿所を谷口氏が訪ね、ケニア選手の強さの秘密を探る、という内容であった。
その番組の中で、ケニア選手のランニング・フォームをコンピューターによって解析するというシーンがあったのだが、それによると、ケニア選手の多くは踵とではなく、爪先から着地して走っているという。そしてもしも、欧米の選手がその筋力と心肺機能を駆使して、同じように走ったら、もっと記録が伸びる、と分析していたのだ。
ではなぜ、ケニア選手の多くは爪先着地で走るのか? それはジョギング・シューズが買えずに、子どもの頃はずっと裸足で走っていたからだと言う。
我々が幼い頃も、ジョギング・シューズなんて存在しなかったので、皆、運動会になると裸足や足袋で走っていた。それと同じである。
で、それから数週間後、友人と走っていたら、彼が最近、読んでいる本の話を始めた。
その本とはクリストファー・マクドゥーガル氏の著書「Born To Run 走るために生まれた」である。
で、その本に、ボクが観たBSの番組と同じような内容が書かれているというのである。
さっそく読んでみた。
なるほど、裸足で走る意味においては多くの共通点を持つ内容である。
つまりこういうことだ。
先ほども言ったように、我々が幼い頃はジョギング・シューズなんてなかった。ところが70年代に始まったフィットネス・ブームにより、ジョギング・シューズが開発され、それは年を追うごとに、クッション性が良くなり、走る足を優しく保護されるように進化していった。ところが、足を保護しているはずなのに、逆に年々、ジョギング愛好家の故障が増えて行くようになる。著者のマクドゥーガル氏も例外ではなく、そのことに疑問を持った氏は、ジョギング・シューズの有用性について調べ始めると...という内容である。
結論から言えば、もともと人間は裸足で走っていたのに、クッションのいいジョギング・シューズを履くことによって、元来、人間が持っている機能を失い、故障に繋がっている、というものである。
まあそれ以外にも面白い内容満載の本なので、実際に読んで欲しいと思うのだが、今現在、ボクもその理論を試しているところである。
人に聞いたり、本を読むだけでは、それを薦めたり、否定したりするのはイヤな性格なので、実際に自分自身で人体実験をしているというわけである。
裸足で走ると自然と爪先着地になるし、踵で着地すると、たちまち痛みが走るので、このファイブ・フィンガーはそれを矯正させる靴だ。当然、使う筋肉は違ってくるので、最初は筋肉痛に襲われる。
これまでは普通のジョギングシューズで、10キロや20キロは平気で走れたのに、この靴を履き始めると6キロか7キロで足に乳酸が溜まってくるのを実感する。
それにご覧のように、靴底の減りが非常に早い。これまでに約100キロ走っただけなのに、この有様である。
この靴がランニング・フォームの矯正用で、長いジョギングには適していないのか、それともソールの減りはあまり関係しないのか、その結論はもう少し待ちたいが、それでも、今までの厚い底のランニング・シューズはいったいなんだったのだ? と思えるほど、このペラペラの薄い靴で走ってもなんの問題もない。
実はこの靴が届くまでにも、カヌーの際に履くウォーターシューズでも走ってみたのだが、同じようにまったく問題はなかった。
このファイブ・フィンガーを履き続けるのか? それともジョギング・シューズに戻るのか? その結論はまだ出ていないが、クッションのいいソールの厚いジョギング・シューズを、もう二度と履かないことだけは確かである。
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