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2011年3月16日アーカイブ

誰にも決して奪えないモノ

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 昨夜10時すぎ、静岡を震源とする地震があった。
 先週の金曜日に発生した東北関東大震災の時は、車で大阪へと移動中で、揺れたことさえ気付かずにいたが、今回は眠りに落ちた瞬間の出来事で、慌てて飛び起きたのだった。
 前回の被害も食器やグラスで、今回も同じく何個かの食器類が割れた。
 写真のマグカップは、1990年に出場した「ミネソタ・ボーダー・トゥ・ボーダー・トライアスロン」の記念カップで、ずっと愛用していたマグだ。
 「ミネソタ・ボーダー・トゥ・ボーダー・トライアスロン」は、ミネソタと南に隣接するアイオワ州との州境から、北に隣接するカナダの国境までの800キロを、自転車とマラソン、そしてカヌーの3種の競技をこなしながら移動するトライアスロンで、4日間掛けて行われる。
 ボクはこのレースに1990年、翌91年の2年連続出場したが、このマグカップは90年に日本人として初出場した際に、貰った記念のマグである。
 このレースに出場した際に見た光景が忘れられずに、河口湖への移住を決意したが、レース本番のいろいろな思い出と共に、数々の想いがいっぱいに詰まったマグでもある。
 今回の地震では多くの方が亡くなり、未だに行方不明の方も多く、加えて、福島の原子力発電施設では、予断の許さない深刻な状況が続いている。
 予定していた仕事や約束事がキャンセルになり、生活の不便も強いられている。
 だが、我々にはこれまでの多くの想い出がある。
 辛いこともあったが、それを何倍も上回る、美しい楽しい想い出がある。それは我々の命の続く限り、永遠に心の中に生き続けるモノであり、生きてさえ居れば、もっともっと楽しいことが待っている。
 今回の地震で家族や愛する人々を亡くした悲しみは想像に絶するが、それでも遺された者の心の中には、いつまでも想い出が残る。
 そしてそれは恐ろしい力を持った自然災害でさえ、決して奪うことのできない存在だ。
 形のあるものはいつかは壊れる。しかし一度でも宿った魂は、永遠に生き続けるのである。
 負けるな! 日本!





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    木村東吉
    1958 年大阪生まれ。
    20代は雑誌「ポパイ」の顔としてファッションモデルとして活躍したが、その後、30 代に入りアウトドア関連の著作を多数執筆。
    現在は河口湖に拠点を置き、執筆、取材、キャンプ教室の指導、講演など、幅広く活動している。
    また各企業の広告などにも数多く出演しており、そのアドバイザーも務めている。

    詳しいプロフィールはこちら

    木村東吉公式サイト「グレートアウトドア」

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