ずっとずっと遥かなる昔、まだ人々が言葉さえも持っていなかった時代、人はどうやって道を切拓いたのだろうか?
大雪が降った翌日、雪に埋もれた山道をスノーシューで歩きながら想う。
雪が降った翌日のスノーシューの大いなる楽しみは、野生動物の足跡を見つけることである。多くの足跡は縦横無尽に、なんの法則もなく残っているように見えるが、よく観察していると、やはりそれは我々が歩くトレイルを踏襲しているケースが多い。
「けものみち」と呼ばれる道がある。野生動物たちの通り道だが、人もまたその「けものみち」を歩き、それがやがて道として確立されたのではないか。
つまりすべての道は、まずは野生動物が歩き、そこを人が歩く。人里と人里を結ぶ道は、そのまま大きく発展を遂げ、人と無縁の「けものみち」は、動物たちだけのトレイルとして人々から忘れ去られる。
いつの時代も動物たちは本能で知っている。どこを歩けばもっとも効率が良いのかを。
雪に埋もれた森は、遥か太古の時代の物語と野生の本能を、いつも我々に静かに語ってくれるのである。
最近のコメント