昨年の秋、手作りのアルコール・ストーブを年上の友人に贈った。公私共にいつもお世話になっている方で、娘の結婚祝いをいただいたお返しに、シングル・ユースのコッフェルをプレゼントをしたのだが、ついでに自作のアルコール・ストーブも一緒に入れておいたのだ。
そのついでのようなプレゼントにとても喜んでいただき、彼は自分でも手作りストーブの製作を始めた。もともと凝り性の性格で、なにかに夢中になると、ネットや雑誌、書籍をひっくり返して、ありとあらゆる角度から調べ尽くす。職業が雑誌の編集、執筆ということもあり、いい意味において職業病だと思われるが、その徹底ぶりにはいつも感心させられる。ボクより9歳年上で今年61歳になるが、その探究心はまったく衰えることはない。
で、昨年のクリスマスに、ボクや妻用に4タイプほどの自家製アルコール・ストーブを贈ってくれたのだが、ボクが彼に贈ったストーブより遥かに完成度が高く、遥かに緻密な仕上がりである。しかも専用の五徳まで付いている。
季節柄、まだ点火式、並びにフィールドテストを行っていないのだが、彼はすでに自作品の検証を済ませたみたいで、添えられた手紙にはアルコールの分量、燃焼時間、火力などが事細かに記されていた。
人に贈り物をする。
そのものの価値ではなく、そのものがその人にどのような時間や体験をもたらすのか? それが楽しみでプレゼントを選ぶことが多い。今回のプレゼントもその最たるモノで、アルコール・ストーブの製作費はアルミ缶を再利用しているのでほぼタダである。
だがそこから楽しい時間が生まれたようである。
手紙には「文字通り、火がつきました」とあった。
幾つになっても新鮮な驚きを忘れない、彼の瑞々しい感性に敬意を表すると共に、自分自身もそのように年齢を重ねて行きたい、と強く感じたクリスマス・プレゼントである。
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