毎年、シーズンの締めくくりは家族揃っての滑走と決めているが、今回は娘は仕事で参加できなかった。
今回、滑りに行ったゲレンデは白馬の岩岳。ここ3年ほどはこのゲレンデがシーズンの締めくくりとなっている。春はリフト料金も安くなるので(一日券が2500円)、それもこのゲレンデを選択する理由のひとつだが、滑走面が長い上に、極度な緩斜面、急斜面がなく、ロングクルージングでの滑りが楽しめるという側面もある。
午前中は全員で黙々と滑り、ランチの後、頂上に着いて滑る準備をしていたら、長男が言った。
「父さん、自分の滑りを動画で撮影してもらったことがないでしょう。特に並走シーンは...」
そういえばいつも撮影する側で、撮影してもらったことはほとんどない。
「これからオレが父さんを撮影してあげるよ!」
子どもたちが幼い頃から、滑っているシーンをよく動画に収めた。その動画を音楽とテロップ付きで編集し、子どもたちに見せたら、いつもとても喜んでいたものである。 が、そこには自分自身の映像がなかった。
「じゃあ撮影してもらおうかな...」とボク。
彼らが幼い頃は膝の間に立たせ、一緒に滑っていたことがつい先日のことのように思い出されるが、午前中の滑りで、もう長男にも、次男にも、自分の滑りが及ばないことをはっきりと自覚していた。滑走スピードも、ジャンプなどのトリックも、すべて彼らの方が遙かに上手である。
早速、滑りだすと、長男がカメラを片手にぴったりと付いてくる。そしてリフトの乗車口までそのまま撮影して付いてくると、一度、スイッチを切ってから言った。
「一緒にリフトに乗って、撮影したビデオを見てみよう!」
長男と二人でリフトに乗る。そしてビデオを再生した。
再生のスイッチを押すと、ボクが滑り続けている映像が映し出されている。驚いたことに瞬時もフレームアウトしないし、ボクの滑る姿がフレームの中心にずっと収まり続けている。しかも映像がブレていない。
「すごいな...まったく映像がブレていないぞ!」
そう言って褒めると、彼は照れくさそうに笑った。
「手ぶれ補正とかなんか、カメラの性能がいいんだよ!」
その前に自分が撮影した動画をすでに見ているので、カメラの機能はまったく関係がないことは判っている。(彼の撮影したものと比較して、それほど自分の撮影したモノはお粗末だった)
もちろん彼が映像関係の仕事に携わっていることも、巧く撮影ができる原因だとは思うが、その滑走技術も相当なモノである。
自分の息子をこうして手放しで褒めると、失笑を買うかもしれない。だが、今シーズン最後のスノボは、子どもたちの成長を深く実感した日でもあった。
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