クリーン・エネルギーの開発は国際レベルで進んでいると思われるが、総面積3000平方キロにも及ぶ氷河地帯を有し、観光立国として成り立っているスイスではその取り組みも真剣である。
ご覧の写真はサンモリッツの駅構内の電飾看板だが、サンモリッツの案内地図と共に、各施設がどれだけクリーン・エネルギーによって稼働しているかを示している。
例えばサンモリッツの街からピッツネイルの山頂へと向かう登山電車は、ソーラーパワーによって稼働してる。
その他、風力や水力、さらに再生可能なバイオマスと、化石エネルギーに極力、依存しないエネルギー政策が推進されているのである。
2007年2月アーカイブ
スイスの国土の広さはほぼ日本の九州と同じで、その小さな国が、ドイツ、オーストリア、イタリア、フランスといった国々に囲まれている。
地域によってその数は異なるが、スイス全土で言えば、ドイツ語を日常的に話す割合は72パーセントにも登り、次いでフランス語が33パーセント、イタリア語が14,5パーセント、英語が10,9パーセント、その他の言語が約12パーセントを占める。(多重言語登録のため、その数が100パーセントを超える)
もちろんその言語が採用されている地域では、食生活もその言語に準じており、フランス語圏やイタリア語圏では、それぞれの国の本格的な料理が味わえる。
このように小さな国土ながらとても多様性を持った国民性で、ボクの隣に写っているプリスカはサンモリッツ観光局に勤める24歳の女性。彼女もドイツ語、英語、フランス語、それにイタリア語と、4つの言語を自由に操る。
これを大変だと感じるのか羨ましいと感じるのか、それは個々によって違うだろうが、スイスの観光局に勤める限り、多重言語の理解力は必需のようである。
今から約150年ほど前、サンモリッツ初のホテル「クルム・ホテル」のオーナーが、避暑にやってきたイギリス人とある“賭け”をした。その“賭け”とは、「避暑だけではなく、冬もこの地は楽しめる! もし退屈だったら、ホテルの宿泊代をすべて無料にするから、一度、冬にも来てくれ」
イギリス人はその“賭け”に乗って、12月にこの地を訪れ、なんと翌年の4月まで、この地に滞在して様々なウィンター・スポーツを楽しんだ。そしてその結果、サンモリッツは世界的に有名なリゾートとして大きく発展したのだった。
ご覧の写真は観光ポスターの前で記念撮影をしたところだが、ポスターにはこの地に生息する「アイベックス」(山羊の一種)が写っている。
近年、開発によって、その数が激減していると言われているが、「クルム・ホテル」のオーナーがその“賭け”に負けていたら、アイベックスたちはこの地で、今でも悠々と暮らしていたかもしれない。
今では世界的なウィンターリゾートとして有名なサンモリッツだが、約150年前までは山間の寒村だった。が、1856年、サンモリッツに最初のホテル(クルム・ホテル)が開業すると、ウィンタースポーツの地として徐々に発展していき、スイス全土のスノーリゾートとしての先駆けとなった。
この地の名前の由来は、かつてこの地にやってきたローマ兵が殉死し、その兵を聖人として崇めたところから来ている。
ご覧の写真はサンモリッツ駅の時計塔で、壁にはその聖人「セント・モウリッツォ」が描かれている。
今回のスイス取材は、3月下旬に放映されるBSフジの番組制作と、今秋(まだ随分と先の話だが)に発売される2つの雑誌撮影のため。
主な取材対象は、1月下旬から2月初旬にかけて毎年サンモリッツで開催されるイベントで、そのイベントのほとんどは、凍ったサンモリッツ湖の湖上で開催される。
イベントの詳しい内容は、今後、テレビや雑誌で紹介されるが、ざっと紹介すると、氷上ポロや氷上競馬、それに氷上グルメ・フェスティバルなど。
ご覧の写真は、その凍ったサンモリッツ湖の湖上に建てられたメディア用のテント内部。テントの中とは思えないような豪華なソファがセッティングされているが、これらの施設がイベント開催中、凍った湖上でいろいろな形でセッティングされる。
ある意味において、冬のアウトドア・ライフの、究極の楽しみが繰り広げられるのである。
例年ならこの時期、サンモリッツでは氷点下30度近くまで気温が下がるが、世界的な温暖化の影響か、今年は低くても氷点下15度前後の日が続き、サンモリッツ湖に流れ込む川は凍ってはいない。
凍り付いた湖に流れ込む川が靄を発生させ、早朝の湖畔を幻想的な雰囲気に包み込む。
自然環境のあらゆる側面が、それを見る者を魅了する。
1月下旬から2月中旬にかけて、取材でスイスに行っていた。
スイスを訪れるのは今回で2度目だが、サンモリッツは初めて。
スイスを代表するスノーリゾートとして世界に知られるサンモリッツだが、厳冬期には氷点下30度近くになる日もあり、ご覧の写真は凍った湖の朝焼けである。
白く凍った湖の右手にサンモリッツの駅が見え、その上に街のネオンが煌めき、さらにその街の上方にスキー場が、藍色の夜明けの中で白く浮かぶ。
この景色がサンモリッツの大きな魅力と言える。
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1958 年大阪生まれ。
20代は雑誌「ポパイ」の顔としてファッションモデルとして活躍したが、その後、30 代に入りアウトドア関連の著作を多数執筆。
現在は河口湖に拠点を置き、執筆、取材、キャンプ教室の指導、講演など、幅広く活動している。
また各企業の広告などにも数多く出演しており、そのアドバイザーも務めている。
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